【AWS re:Invent 2024】参加レポートPart 2:メインプログラム ~ keynoteで注目したポイント!
今回のテーマ:AWS re:Invent 2024 参加レポート Part 2!
こんにちは、TOPPANデジタルで AWS Top Engineers を目指している奈良です。昨年、AWS re:Inventに参加してきました。参加レポートを全3Part構成でお届けします。
本記事はPart 2として、Keynoteで注目したポイントについてご紹介いたします。
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1. Keynoteとは?
Keynoteは、AWSやAmazon.comのCEOなどが新サービスや新機能を発表する場です。単なる発表にとどまらず、その背景や目的、思想なども深掘りされるため、非常に学びの多い内容となっています。全世界で同時配信されるため、現地に参加できなくても視聴は可能ですが、会場特有の熱気や盛り上がりは現地ならではの魅力です。
今回は以下の4つのKeynoteになります。4つの中でも、ソフトウェア工学に関連する法則や考え方を取り上げつつ、AWSやAmazonで大事にしてきた技術的な観点での教訓などが話されるDr. Werner Vogels氏の内容に注目しました!
Peter DeSantis, SVP of AWS Utility Computing
AWSの基盤に関する投資と進化を解説。通常ユーザーで意識しないインフラレイヤの技術進化を紹介。Matt Garman, CEO of AWS
メインとなる基調講演。Matt Garman氏はCEO就任後、初のre:Inventキーノート。Swami Sivasubramanian, VP of Data and AI
データ、分析、AIに関する総合的なサービスやAmazon Bedrockのモデル選択肢拡大について紹介。Dr. Werner Vogels, CTO of Amazon.com
例年、システム開発における課題やそれに対するAmazon、AWSのアプローチを紹介するキーノートを実施
2. 注目したKeynote:Dr. Werner Vogels氏のメッセージと6つの教訓
Dr. Werner Vogels氏はAmazon.comのCTOであり、AWSに多大なる影響を及ぼす一人となります。Keynoteでは、AWSのメッセージとして大事にしてきた「6つの教訓」について話されていました。
メッセージ:Simplexity
「Simplexity」は、Simplicity(単純さ)とComplexity(複雑さ)を組み合わせた造語で、この言葉自体は昔からあるようです。このキーワードをアプリケーションのアーキテクチャにあてはめ、AWS を例に「システムをどう進化させていくか」について語られていました。
システムが大規模化すると複雑性が増し、問題解決や運用が難しくなります。しかし、AWSのサービスはその複雑性を適切に管理し、シンプルさを保つことで利用者に価値を提供しています。
複雑さはコンポーネントの数の多さとは関係しないという補足もされていました。
具体例として、一輪車や三輪車、自転車を用いた比喩が印象的でした。
一輪車:構造はシンプルだが、操作は難しい。
三輪車:操作は簡単だが、柔軟性に欠ける。
自転車:最も多くのコンポーネントから構成されているが、操作性と柔軟性を兼ね備えている。
このように、シンプルさと複雑さを両立させることが重要であり、「複雑性=コンポーネントの数」と考えるべきではないと強調されました。これはシステムや組織運営にも当てはめることができ非常に納得感のある内容でした。
6つの教訓
「Simplexity」を実現するために、6つの教訓について語られていました。
① Make evolvability a requirement (進化可能性を要件とする)
環境の変化に柔軟に対応できるよう、アーキテクチャを定期的に見直す必要性が強調されました。
② Break complexity into pieces (複雑さを小さく分割する)
システムが複雑になっても管理しやすい状態を保つためには、複雑さを細分化する必要があるということです。
③ Align organization to architecture (組織をアーキテクチャに合わせる)
複雑性に対応するための組織の対応方針について2つの教訓を語られていました。
順調に行ってるときこそ、疑念を持ち慎重になるべきである。
組織のリーダーたちがすべきことは、チームに対してすべきことを指示することではない。チームの自律性を尊重し、課題とその重要性を明確にするリーダーシップが求められる。
④ Organize into cells (組織やコンポーネントをセルに整理する)
小規模なセル(単位)に分割することで、障害発生時の影響範囲を限定する。
⑤ Design predictable systems (予測可能なシステムの設計)
システムの不確実性を排除する設計を目指す。
⑥ Automate Complexity (複雑さを自動化する)
高度な判断力を必要としないものはすべて自動化する。
「何を自動化するかではなく、何を自動化しないか」を考える視点が重要であると語られました。
3. Part 2のまとめ
AWSが掲げる「Simplexity」という哲学は、単なるシステム設計のアイデアにとどまらず、私たちの日常業務や組織運営にも深い示唆を与えるものでした。特に、「高度な判断力を必要としない作業を自動化し、何を自動化しないのかを考える」という視点は、日々の課題解決やプロセス改善に直接応用できると感じました。
また、Dr. Werner Vogels氏が提示した6つの教訓は、変化の激しい技術業界において「進化し続ける組織やシステムをどう構築するか」という普遍的な課題に対する答えとも言える内容でした。特に、シンプルさと柔軟性を両立するための考え方は、読者の皆さんのプロジェクトにも役立つヒントになればと思います。
Part 3では、Gameday、EXPO、5Kマラソンといった現地体験にフォーカスし、学びとともに現地の臨場感をたっぷりお届けします。現場での体験がどのように自己成長や新たな気づきにつながったのか、ぜひご期待ください!