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デジタルテクノロジー・レポート

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TOPPANデジタルの技術戦略センターでは、変化する私たちの生活に寄与するデジタル技術を予見・整理しています。ここではその技術について作成したレポートを公開しています。
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記事一覧

遊びながら量子コンピュータを理解する!?「量子ゲーム」

量子ゲームとは 量子コンピュータは、量子力学の原理を利用して、通常のコンピュータでは解けない複雑な問題に取り組むことができる革新的な技術です。最近では、テレビや新聞の科学関連のニュース、小説や映画などのSF作品を通じて、量子コンピュータというワードをよく目にするようになりました。これらをきっかけに量子コンピュータに興味を持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ量子コンピュータの世界を調べてみようとするも、専門用語や量子力学の知識を要する高度な概念に圧倒され、途中で挫折

グラフニューラルネットワークとは

 グラフニューラルネットワーク(GNN:Graph Neural Network)は、ノード(点)とエッジ(線)で構成されるグラフを入力データとして、AIの学習・予測をする深層学習モデルです。実世界では、ソーシャルネットワーク、分子構造、交通ネットワークなど、多くのデータがグラフとして表現可能です。GNNは、これらグラフのノード間の関係性やパターンを学習し、ノードやグラフ全体の特徴表現から予測・分類等のタスクを実行します。具体的には、ソーシャルネットワークのユーザーグループ

全方位で世界を記録する「パノラマ技術」とTOPPAN DIGITAL SANDBOX®での実証実験

はじめに Apple社のVision ProやMeta社のMeta Questシリーズなど、VR, MR, ARなどを体験できるXRデバイスが各社から発売され、高い品質でかつ誰でも手軽に体験できるようになってきました。アプリケーションに関しても、UnityやUnrealEngineに代表されるゲームエンジンなどで誰でも開発できるようになってきています。私たちはこれらのデバイスが今後さらに普及し、誰でもどこでも体験できる未来が来ると想像しています。  DX 事業の拡大と新規

企業や個人の秘密を守るゼロ知識証明

ゼロ知識証明概要  ゼロ知識証明とは、情報ネットワークを介して「自分が知っている秘密の情報」を誰にも見せることなく、その情報が「本当であること」を証明することができるやり取りの方法です。  通常、証明のために、何らかの検証を行う場合、情報の通信相手に秘密情報(パスワードなど)を提示する必要があります。この方式においては、技術の発展や応用などにより安全性が高まりつつありますが、秘密情報自体を提示しない方式として、ゼロ知識証明を導入する技術も研究・開発されています。  ゼロ知

ブロックチェーンが実現する「価値のインターネット」と「Web3」

概要ブロックチェーンとは?  ブロックチェーンとは、デジタル情報を安全かつ透明に取引・記録するための分散型のデータベースの一種です。複数のコンピューターがネットワークを形成し、同じ情報を持ちながら、その情報の変更や追加を合意形成アルゴリズムに基づいて行います。合意された情報は、ブロックと呼ばれる単位でまとめて記録されており、各ブロックがそれぞれ前のブロックから導出されたデータを含み、鎖(チェーン)のような構造をしていることからブロックチェーンと呼ばれています。  未だ正体

コンピュテーショナルファブリケーション技術による機能性メタマテリアルの研究

 コンピューターによる設計技術と、3Dプリンターをはじめとするデジタル加工機の進化と普及は、製造プロセスの効率化だけでなく、人間とコンピューターが共同で創造する新たな製造技術、コンピュテーショナルファブリケーション(Computational Fabrication)を生み出しました。この技術は、革新的な形状や構造のデザインとその実現を可能にし、それらはメタマテリアル[※1]と呼ばれる人工新素材の開発に応用されています。その適用範囲は急速に拡大しており、当初は建築、航空宇宙

デジタル社会での信頼性を向上させるVerifiable Credentials

概要Verifiable Credentialsとは  Verifiable Credentials(以下、単数形:VC、複数形:VCs)は、あらゆる証明書をデジタル化したもので、「検証可能な資格情報」とも呼ばれます。私たちが保有するあらゆる情報をVCsに変換することで、デジタル社会において信頼性が担保された証明書として活用できます。  W3C(World Wide Web Consortium)という団体がVCsのデータモデルを公開しており、VCsの規格が標準化されてい

社会の自動化を推進するマルチエージェントシステム

概要マルチエージェントシステムとは  マルチエージェントシステム (Multi-Agent System、以降MAS) とは、考える主体である「エージェント」が複数存在するシステムです。「考える主体が複数いる」と聞くと、それらがバラバラに考えた時に、システムが全体として正常に動作するか心配になります。MASではエージェントが自律的に動作しつつも、互いに「空気を読んで」行動します。ここでいう「空気を読む」とは各エージェントが他のエージェントとコミュニケーションをしたり、他の

社会の可能性を広げるデザイン思考

モノ・コト作りにおけるデザイン思考の概要デザイン思考とは?  デザイン思考は、プロダクトやサービス開発において、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)を中心に捉え、それらの設計プロセスを効果的に進めるための方法論として、様々な企業で活用されています。  デザイン思考のプロセスでは、ユーザーの問題や課題を理解し、それに合わせてプロダクトやサービスを設計・開発していくことが重要視されています。これは次の2つのデザイン思考の特徴で表されます。 特徴①:ユーザーセントリック  

ポストビッグデータ時代における量子人工知能の利活用と方向性

概要量子人工知能(量子AI)とは  量子AIとは、処理の一部または全てを、量子状態によるデータの表現や量子回路を用いて行うというAIです。従来のAIにおけるどのような処理を量子状態データや量子回路(量子計算)により行うかについては、現時点では専門家達の間で統一の見解はありません。量子優位性の確立を求めて、学習データやモデルなど、AIの構成要素へ量子計算を適用する様々な研究が行われています。  量子AIにおける量子優位性とは、従来のAIと同様の分類や回帰、最適化などの問題に量

人の越境移動を管理・コントロールするパスポートのデジタル・光学認証

概要 私たちが海外へ渡航する際に携えるパスポートは、入出国の際に掲示する以外に身分証明書としても使える信頼度の非常に高いIDドキュメントのひとつです。パスポートや運転免許証に代表されるIDドキュメントには、偽造や変造を抑止・防止するために様々な技術が込められており、それらは人間または機械によって真贋を判定され、また個別の認証に用いられます。パスポートが現在の名称で一般人の国内外の移動に用いられるようになったのはおよそ300年前(17~18世紀頃)、冊子の形状として定着したの

3次元コンピュータビジョン研究動向

3次元コンピュータビジョンとは コンピュータビジョンは、近年大きな注目を集めている重要な研究分野の一つです。その代表的な学会であるCVPR(Computer Vision and Pattern Recognition、コンピュータビジョンに関する世界トップレベルの学会の1つ)では、投稿される論文数が10年で5倍以上に増加しており、今後も大きく発展することが期待されます。  3次元コンピュータビジョンは、コンピュータビジョンの研究分野の1つで、2次元の画像をカメラの幾何学等

データ利活用の可能性を広げる連合学習

連合学習とは概要  連合学習とは、分散機械学習の手法であり、クライアント側の複数デバイスが個別に持つデータを活用してモデルを学習する方法です。各デバイスは自身のデータを用いて学習を行い、その結果を集約することで共同のモデルを構築します。デバイスからデータを外部に提供しないことで、データのプライバシーを保護しながら、より多様なデータを利用できるため、モデルの精度向上や汎化性能の向上が期待できます。連合学習は、医療データやプライベートな情報を含むデータの利用において、プライバシ

第3回量子EXPO【春】、凸版印刷ブースに高校生が見学に来ました!

 凸版印刷は、2023年5月10日(水)から12日(金)まで3日間にわたり東京ビッグサイトで開催された「第3回量子コンピューティングEXPO【春】」に出展しました。凸版印刷ブースでは、企業や研究機関と連携した量子技術への取り組みを紹介し、3日間を通して大勢のお客様にお越しいただきました。  本レポートでは5月10日(水)、12日(金)に立教池袋中学校・高等学校の高等学校の学生さんが、凸版印刷ブースをご見学した様子をご紹介します。 来場のきっかけ  今回、凸版印刷ブースをご