北里八雲牛と目指す畜産業界のDXとSX
こんにちは!TOPPANデジタル函館サテライトオフィス「ICT KŌBŌ®︎ HAKODATE」です。今回の記事では、私たちが北海道というフィールドを舞台に畜産分野で取り組んでいるDXと、その先に目指すSXについてご紹介します!
北海道の畜産
北海道は梅雨がなく、年間を通して湿度、適度な気温を保つ気候が特徴です。自然豊かで広大な土地をもつ北海道では、栄養豊富で良質な牧草を作ることが出来るため、肉牛を飼育するのに適しています。また、北海道は肉牛の飼育頭数が日本一です!
牛肉は、たんぱく質や鉄分が豊富に含まれており、栄養満点で、人間の食生活に欠かせない食べ物ですよね。筆者を筆頭とし、お肉が大好きなメンバーが集まっているICT KŌBŌ®︎ HAKODATEでは、そんな牛肉の生産現場はどのようなことが行われているのか、どのような課題があるのかに興味をもち、調査を始めました。
北里大学八雲牧場さんとの出会い
調査を始めて間もなく、TOPPANエッジの得意先企業がICT KŌBŌ®︎ HAKODATEに見学にいらっしゃり、ICT KŌBŌ®︎の取り組みをご紹介する中で「取引のある八雲町の牧場が課題を抱えていそうだよ」という有益な情報を得ることができました。こうしてご紹介いただいたのが「北里大学八雲牧場」さんです。
北里大学八雲牧場とは
北里大学八雲牧場は、ICT KŌBŌ®️ HAKODATEのオフィスがある函館市から車で1時間半ほど離れた八雲町にあります。八雲町は日本で唯一「日本海」と「太平洋」の二つの海に挟まれています。また、農業・漁業を基幹産業とした豊かな自然と資源に恵まれた町です。
そんな八雲町に拠点を構える北里大学八雲牧場は、青森県にキャンパスを持つ北里大学獣医学部の附属研究施設として、牛の研究を行いながら並行して生産も行っています。
北里大学八雲牧場の特徴
敷地面積約370ha(東京ドーム約80個分)の敷地を有する北里大学八雲牧場は、国内で初めて有機JAS認定を取得した肉牛を、自給飼料100%にこだわって生産(牧草型有機畜産)しています。こうして生産された牛を『北里八雲牛』と命名してブランド化し、都内の百貨店などで販売しています。また、雪の降る北海道の気候に合わせ、夏山冬里方式という飼養方式を採用しています。
と、言っても聞き馴染みのない言葉であまりイメージできないと思うので、簡単にまとめると、、
| 肉牛の有機JAS認定とは?
有機栽培(化学肥料や農薬の使用不可)された飼料を与え、投薬に制限を設けるなど、厳しい条件をクリアして飼養されたことを示す国家規格です。
| 自給飼料100%へのこだわりとは?
国内の一般的な畜産の現場では、7割以上を海外からの輸入飼料に頼っており、輸送による環境への負荷が問題視されています。そういった中、北里大学八雲牧場では自給飼料100%(牧草のみ)にこだわることで環境負荷を下げ、持続可能な畜産を目指しています。
| 夏山冬里方式とは?
夏山冬里方式の飼養方式とは、5〜10月を放牧、11〜4月を牛舎にて飼養する方式のことを言います。北里大学八雲牧場の場合、夏の期間は、放牧地で牧草を食べ、冬の期間は牛舎でグラスサイレージを食べて育ちます。
| グラスサイレージとは?
牧草を適度な水分を保ったまま密封し、乳酸発酵させることで貯蔵性を高めた飼料のことです。
フィールドリサーチ
北里大学八雲牧場の小笠原英毅先生にご協力いただき、牧場現場をさまざまな角度で見せていただきました。実際に現場に何度も足を運び、小笠原先生と会話を重ねる中で、今まで知らなかった畜産現場の課題が見えてきました。
牛の飼養管理
牛の飼養管理をする上で、一頭ずつ体重計に誘導して体重を測ったり、保定枠と呼ばれる装置に牛を固定して胸囲などの体尺値を測定したり、それらの結果を紙媒体に記録したりとさまざまなアナログ作業があり、なおかつそれらの作業を限られた人数で行うため、いかにして効率的に作業を行うかが重要なポイントであるということに気づきました。
牧草地管理
一方、牧草地の管理では、牛が牧草をある程度食べ進めた場合は別の牧草地に移動(転牧)させたり、ある程度育った牧草を定期的に収穫したりと、測定機器は使わずにスタッフさんの主観で判断しているシーンが多いことも知りました。
共同研究
こうして見えてきたさまざまな課題に対し、TOPPANデジタルとしてデジタルという側面でアプローチを進めるべく、『牧草型有機畜産の効率化を目指したICT技術の開発』というテーマで小笠原先生との共同研究をスタートさせました。
この共同研究を通じて、高齢化の進む畜産業界のDXを加速させ、誰でも容易に作業できるようにすることで、既存の畜産農家さんの作業効率向上を図るとともに、新規就農のハードルを下げられたらと考えています。「効率化」と「担い手不足の改善」、これら二つの側面を意識した取り組みを行うことが、将来的には持続可能な畜産(畜産業界のSX推進)に繋がっていくと信じています。
現在は、牛の体重や牧草地をスマートフォンだけで誰でも簡単に管理できるようにするべく、プロトタイプの開発や現場での検証を進めていますが、このプロジェクトでは現場を自分自身で体感することの重要性を日々感じています。何度も通うことでしか得られない気づきや、毎回新たな発見があったりするので、そういった面が地域とあゆむICT KŌBŌ®︎ならではの強みであると感じます。
さいごに
ICT KŌBŌ®︎は地域ごと異なる課題に対して、独自のアプローチでソリューションの開発を行なっています。他拠点の活動についてもぜひ、過去の記事をご覧ください!
今後も、現場視点を忘れずに地域発のものづくりを進めてまいります!
次回の記事もお楽しみに!!
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