見出し画像

地元農家との交流から生まれたソリューションRemoPick®︎誕生ストーリー

こんにちは、ICT KŌBŌ®︎です。今回は、ICT KŌBŌ®︎ IIZUNAから生まれたソリューション「RemoPick®️(リモピック)」の誕生について、ご紹介していきたいと思います!

RemoPick®︎とは

RemoPick®︎はICT KŌBŌ®︎の第一拠点である、長野県飯綱町にあるICT KŌBŌ®︎ IIZUNAから誕生したソリューションです。スマートグラスやタブレットなどのデジタルデバイスを用いて、遠隔地におけるコミュニケーションを豊かにするサービスです。

RemoPick®︎の仕組み
RemoPick®︎のシステム概要

サービスについての詳細はこちらからご確認ください。

RemoPick®︎開発のきっかけ

ここからが今回の記事の本題です。どのような経緯でRemoPick®︎が誕生したのか、開発のきっかけについてお話ししていきたいと思います。

長野県飯綱町

ICT KŌBŌ®︎ IIZUNAが拠点を構える長野県飯綱町は、長野県の北部に位置し、周囲を山々に囲まれた自然豊かな土地です。農業が盛んな地域であり、特にりんご栽培に注力している地域です。

飯綱町の風景

ICT KŌBŌ®︎ IIZUNAについてはこちら

オフィス開設当初の取り組み

2020年のオフィス開設当初は、東京から赴任した4名でスタートしました。メンバー全員が長野県出身ではなく、長野県のことも飯綱町のことも全く知らない状態でした。そこで、まずは地域の特性を知るために、地元の農家さんのご協力のもと、社員自らが主要産業であるりんご栽培について学び始めました。

農作業をする社員

農作業を通して

農作業をする中で、熟練の農家さんが感覚で行っている作業が多いことに気がつきました。素人では判断に迷う場面が多くあり、一つ一つの作業に時間がかかってしまうこともありました。

例えば、「摘果作業」です。りんごは1つの株から5~6つの花が咲き、果実が実ります。そして、それぞれの果実が樹の養分を取り合うため、そのままだと全ての果実が大きくなることはできません。そこで、真ん中の大きな「中心果」を残して周りの果実を摘み取る作業が「摘果作業」です。

摘果前のりんご

基本的には真ん中の大きな「中心果」を残すのですが、中心果が生育不良や形が変形している場合などは、中心果以外から良い実を残さなければなりません。どの実を残せばいいのかという判断は、素人にはなかなか難しいものでした。

地元農家さんのひとこと

そのように社員が苦労していたところ、農作業を教えてくださっていたりんご農園「Fujiwara roots farm(フジワラルーツファーム)」の藤原新哉さんが、社員が農作業中にかけていた防塵用ゴーグルを見て「そのゴーグルで見てる景色に指示ができたら便利かも」と一言。それを聞いていた奥様の奈緒美さんは「それができたら、農家を引退した高齢者が、自宅にいたまま新規就農者に作業を教えられるね」と反応し、会話が盛り上がりました。

その後、その一言が忘れられなかった社員は、何かできないかとチームメンバーと会話する中で「スマートグラス」という発想に至りました。そして、スマートグラスを準備し、スマートグラスで撮影された映像をタブレットで確認できるプロトタイプを開発しました。これが、RemoPick®︎誕生への第一歩でした。

ここからは、Fujiwara roots farmの藤原ご夫妻へのインタビューを交えながら、当時のことを振り返ります。Fujiwara roots farmは、藤原新哉さんと奈緒美さんが運営しているりんご農園です。お二人は新規就農者として県外から長野県に移住し、現在は飯綱町でりんご農園を営んでいます。

Fujiwara roots farm ホームページはこちら↑
Fujiwara roots farmの藤原さんご家族

新哉さん:
会話をしてから実際にスマートグラスとタブレットを使った試作品を持ってきてくれた時はもうできたんや!とスピードに驚いたな。

奈緒美さん:
うんうん。本当に早かったよね。

お二人のひとことから、機材を手配しプロトタイプを開発するまでは約1ヶ月弱でした。まさかあのひとことから、実際にモノができるとはお二人も思っていなかったようで、大変驚いたそうです。

初めてスマートグラスを体験する新哉さん

バーチャルりんご狩り

プロトタイプをお見せしながら、会話をする中でまた新たなアイディアが生まれていきました。それが「バーチャルりんご狩り」です。

奈緒美さん:
遠隔でりんごの畑を見ながら収穫体験ができたら面白いよねと雑談で盛り上がったよね。

新哉さん:
ちょうど毎年出店していた大阪のりんごマルシェがあったから、主催の人に「こんなんやってるけどどうか」と話してみたら、「面白そうだからぜひ」となったんだよな。

そして、プロトタイプの機能を拡張させたRemoPick®︎の前身である「バーチャルりんご狩り」のシステムを開発し、藤原ご夫妻のご協力のもと2020年11月に大阪で開催されたりんごマルシェで、来場したお客様にりんごの遠隔収穫体験を提供しました。アプリケーションは、スマートグラスの映像を転送する機能に加え、タブレットをタッチすると、タッチした場所がスマートグラスに映し出される「ポインター機能」、映像から赤いりんごだけを検出する「りんご判定機能」を搭載しました。

初代スマートグラス
初代アプリケーション

大阪のマルシェ会場のお客様はタブレットをタッチし、どのりんごを収穫したいか、スマートグラスをかけた飯綱町のりんごの圃場にいる新哉さんに指示をします。そして、音声でコミュニケーションを取りながらりんごを収穫していきます。

飯綱町-りんご圃場
大阪-マルシェ会場

新哉さん:
すごい面白かった。特に、車椅子のお客さんが体験していたのが印象に残っているなぁ。身体が不自由な方も、リモートで楽しめたっていうのがやってよかった。行きたくても行けない人に楽しんでもらえて本当にすごいと思ったなぁ。

奈緒美さん:
私も同じこと思ってた。自分も同じ年の春に足を怪我して、今まで普通にできてたことができない期間があったから、そういう人が楽しめるものを提供できたっていうのはすごく印象的。

イベント当日は、子供から大人まで幅広い年代の皆さんにご体験いただきました。ご体験いただいた方の中には、身体が不自由で車椅子で生活している方もいらっしゃいました。その方はご体験いただいた後、「まさか自分がりんご狩りをできるなんて思っていなかった」と喜んでいらっしゃっていた様子は、当日スタッフとして現地にいた社員もとても印象に残っています。

新哉さん:
反響も大きかった。その後にいろんなことに繋がるきっかけになったよな。

奈緒美さん:
そうそう!福岡のイベントでもやることになったし。そこで出会った人と新しい繋がりが生まれることにもなったし。

新哉さん:
「飯綱」って場所に来た意味があったなって思うな。

奈緒美さん:
これって、農家だけで話していたら絶対に生まれなかったことだと思う。異業種で、全く違うことをしている人達が交流したからこそ生まれたことだなと思う。

バーチャルりんご狩りでの一コマ

バーチャルりんご狩りのイベントは、私たちICT KŌBŌ®︎ IIZUNAにとっても、とても大きなターニングポイントとなりました。多くのメディアに取り上げていただいたこともあり、イベント後は予想を大幅に上回る反響でした。

サービスリリースへ

バーチャルりんご狩りの反響を受けて、翌年の2021年からは、りんご狩りに留まらない汎用的な遠隔コミュニケーションサービスを目指し、本格的に開発をスタートさせました。

そして、2022年の5月に晴れて「RemoPick®︎」としてサービスをリリースいたしました。現在では、さまざまな分野で遠隔コミュニケーションツールとしてご利用いただいております。

ICT KŌBŌ®︎ が目指すもの

私たちICT KŌBŌ®︎の社員は、拠点を構える土地に住みながら、その土地の抱える課題へと向き合っています。現地にオフィスを構えているからこそ、地元の方々と交流が生まれ、深くその土地を知り、共に考え、サービスを生み出し、提供することができるのがICT KŌBŌ®︎の魅力です。

まだまだ駆け出したばかりのチームですが、これからも地域に根ざした取り組みを目指し、邁進してまいります!

ICT KŌBŌ®︎ IIZUNA

RemoPick®︎の開発を担当したメンバーのインタビュー記事が別途公開されていますので、こちらも併せてご覧ください!

次回の記事もお楽しみに!

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!