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AWS re:Invent 2023 参加レポート -前編-

イントロダクション

自己紹介

こんにちは。TOPPANデジタル Webエンジニアの加納です。

普段は主にAI・IoT関係のソリューション開発に携わっており、私の所属するチームで開発を進めている「工場データの見える化ソリューションのe-Platch®」や「センサーデータの収集、見える化サービスのZETADRIVE®」について、各種センサーなどのデジタルデバイス・クラウドインフラ・Webアプリケーションと、幅広いIT技術領域で日々開発を行っています。

本レポートでご紹介すること

そんな私ですが、今回初めてAWS re:Invent(以下「re:Invent」)に参加してきましたので、その様子を前編/後編にわたってご紹介します。

前編となる本レポートで取り上げる内容は下記です。

  • re:Invent基本情報

  • 現地(ラスベガス)の様子

  • keynoteのトピック
    keynoteで発表されたサービスの実務活用例など

  • 現地でしかできない経験
    re:Inventに参加して感じたことなど

後編では「2024年以降のre:Inventに参加する方向けの情報」や「re:Inventのセッション深掘り情報」などをご紹介します。
後編はこちらを御覧ください!(本記事の最後でもご案内します)

AWS re:Inventとは

re:Inventは、年に一度開催されるAWSの大規模イベントです。クラウドインフラにまつわる専門家や技術者が集まり、最新のクラウド技術やサービスについて学び、情報交換を行います。

そんなre:Inventですが、2023年の総セッション数はなんと2,000超え!
re:Inventでは毎年数多くの新機能・新サービスの発表があるため、AWSの最新情報をいち早くゲットして活用したいAWSエンジニア(私含む)にとって憧れの場所となっています。

  • 日程: 2023 年 11 月 27 日 ~ 12 月 1 日

  • 場所: アメリカ・ラスベガス

  • 主要なセッションやイベント:

    • keynote (別項目で取り上げます)
      AWSのCEOやCTO、またAWSのパートナー企業のエグゼクティブが登壇する、新規サービスやAWS活用事例の発表イベント。
      会場の雰囲気含めて刺激的なため、re:Inventに参加したら必ず聞けと言われがち

    • 聴講系セッション
      発表者の発表を聴くタイプのセッション。セッションの内容は後で配信されるもの、されないものがある。

    • ハンズオン系セッション
      手を動かしてAWSリソースを作成しながら学ぶタイプのセッション。

    • Expo (別項目で取り上げます)
      世界に名だたるIT企業・サービスが多数出展している展示会。

なぜre:Inventへ参加することに?

私が開発に携わっているe-Platch®ZETADRIVE®では、メインのクラウドインフラとしてAWSを利用しています。

それもありこれまで私は、AWSのProfessional資格やSpecialty資格を取得し、AWSに関する勉強や情報収集、そして開発に熱心に取り組んできました。

現在はProfessional資格とSpecialty資格の計8つを保有しており、AWS 12冠取得(すべてのAWS資格取得)に向けて日々努力を重ねています。

そんな中、私が所属するチームで情報収集の一環として、re:Inventに参加する機会があるかもしれないという話がありました。

これまでの経験と資格保有の背景、そしてその他いくつかの条件が重なり、幸運にも2023年のre:Inventへの参加が実現することに!

その後、パスポート取得をはじめとする様々な準備を経て、re:Inventに参加することができました。
そして今、その体験を元にこのレポートを書いています。

現地(ラスベガス)の様子

やはり「ラスベガス」ということで、街全体がギラギラした雰囲気に包まれていました。

re:Inventのメイン会場は日を追うごとに盛況になっていきましたが、特にKeynoteにはたくさんの人が集結し、AWSの新サービス発表への期待感を感じることができました。

keynoteのトピック

これまでre:Inventに参加してきた先人の方々が口を揃えて言う通り、例に漏れず私もKeynoteは絶対に参加すべきだと思いました!

同時配信があるとはいえ、会場の独特な雰囲気や盛り上がりは、やはり現地でないと味わえない魅力の一つです。

下記は2023年のkeynoteで発表された内容の中で、e-Platch®ZETADRIVE®などのサービスに活かしていけるのではないかと考えているトピックです。

生成AI系

  • 「Amazon Q」や「Amazon Bedrock」を始めとした、AWSの膨大なコンピューティングリソースに支えられた生成AIサービスの発表が多数ありました。

  • 冒頭で紹介したe-Platch®は、工場データの「収集、一覧化、アラート発報」までを簡単に実現可能なサービスですが、これにプラスして工場データの「説明・インサイト」を生成AIで提供できたらよりサービスの価値が向上するのでは?と考えています。

  • 例えば、ある工場の消費電力量が大幅に増加した場合、それをグラフで閲覧するだけではなく、その理由まで説明し、次に実行するべきアクションまで教えてくれるようなイメージです。

  • 難易度は高く、生成AIで望む精度が得られるかなどがハードルになりそうですが、実現を目指して検討を進めていきたいです。

ZeroETL系

  • ZeroETL(Extract, Transform, Loadのプロセスをほぼリアルタイムで実行可能にした技術)に関する発表がありました。

  • 現チームではe-Platch®ZETADRIVE®といったAIやIoT系のソリューション開発をしていることもあり、これらの領域とZeroETLの組み合わせに大変期待しています。

  • 例えば、e-Platch®を導入している工場からアップロードされ、DynamoDBに保存されている膨大なセンサーデータを、DynamoDBから取得してAIに学習させるシチュエーションを考えます。

  • 従来であればDynamoDBに保存されたデータを、何らかの仕組み(AWS GlueやLambda)を利用してデータ変換し、それをAmazon OpenSearch Serviceなどの検索、抽出サービスによって取得する必要があり、「データ変換の仕組みを構築する手間」や「データ変換のタイムラグ」が発生していました。

  • しかし、今回発表されたZeroETLによって、ETLの手間やタイムラグが軽減し、本来取り組むべきタスク(分析やAI構築など)に割くことができる時間が増えるだろうと考えています。

  • ZeroETLをうまく活用し、各種サービスの価値を高めるための足がかりにしていきたいですね!

コストマネジメント系

  • 地味ながら一番大事と言っても過言ではない、コストマネジメント系の発表がありました。

  • e-Platch®はサーバレス構成のシステムとなっているため比較的コスト最適化が実現されているものの、コスト的にはまだまだ抑えられる箇所があると考えています。

  • そこで、re:Inventで発表された「AWS Cost Optimization Hub」などの新機能を活用することによって、コストの無駄をあぶり出し、魅力的な機能とコスト最適化を両立したシステムを目指して、日々開発を進めていきたいと強く感じました!

現地でしかできない経験

Gameday

re:Inventのハンズオン系のセッションタイプの1つに「Gameday」というものがあります。
公式説明によると下記のような形態のセッションであり、簡単に言うと「より実践的な方法でAWSに関する学びを深めることができる」セッションとなっています。

AWS GameDay は、チームベースの環境で、AWS ソリューションを利用して現実世界の技術的問題を解決することを参加者に課題として提示する、ゲーム化された学習イベントです。従来のワークショップとは異なり、GameDay は自由で緩やかな形式で、参加者は固定概念にとらわれずに探索し、考えることができます。

https://aws.amazon.com/jp/gameday/

今回のre:Inventで参加したGamedayでは、運良く日本人で四人一組のパーティを組むことができ、出題された生成AI系の課題に全力で取り組むことができました。

メンバーの全員が生成AIに関する知見をあまり持っていない中、チーム全員で分担しながらタスクに取り組んだことで制限時間内に全ての課題をクリアすることができ、感動を分かち合うことができたのが一番の収穫だったと感じています。

Gamedayは「普段なら関わることのできない他企業のエンジニア」と即席のチームで課題に取り組むという、普段はあまり経験できない貴重なイベントです。

クリアできなくても全然問題ないので、怖がらず、積極的に参加してみると新たな道が開けるかも!?

Expo

Expoは世界に名だたるIT企業・サービスが多数出展している展示会で、日本企業もいくつか出展がありました。
会場に行ってみると「あの企業が!」「あのサービスが!」と、会場のどこに行っても見知った企業・サービスの展示があり興味が尽きなかったため、空き時間を見つけてはExpoに参加していました。

また、Expo会場の中心には「AWS Village」があり、AWSのエキスパートエンジニアが各種AWSサービスの質問に答えてくれます。
ある程度英語が分かるのであれば、是非訪れて質問を投げかけてみると、現地でしか聞けないことが聞けるかもしれないなと思いました。

私が行った際には運良く?日本に駐在したことのあるエンジニアの方と話をすることができ、SlackとAWS Qの連携などについて色々と教えてもらえました。

アメリカに居るということ

そもそもあまり海外旅行はしてこなかった方や、海外に行ったことはあるけれどアメリカは無いといった方は比較的多いと思っています。

自分も含めそういった方々にとっては、ITの本場であるアメリカで多様なコンテキストを持つ人々と交流し、学び、刺激を受けること、つまり「アメリカに渡りre:Inventに参加する」という事自体に意義があるなと強く感じました。

今回のre:Invent参加で、私の英語に対するモチベーションやAWSというクラウドインフラとの関係が、確かに変わった実感があり、そういった変化は「仕事との向き合い方」や「キャリア形成」において重要な影響があることと思います。

まとめ

今回初めてのre:Invent参加でしたが、クラウドコンピューティングとその周辺技術に関心を持つすべての人にとって、re:Inventは最高のイベントだと感じました。

re:Inventへの参加を通じて、AWSのプロフェッショナルとして活躍する方々と人種を問わず交流を深めることができました。この経験は、私自身の視野を広げるだけではなく、英語学習やAWSエンジニアとしてのモチベーションも大いに高めてくれました。

もし私のようにAWSが好きという気持ちがあり、運良くre:Inventに参加する機会を得た際は、是非そのチャンスを生かして成長してください!
私自身も、またいつか機会があれば、今回の経験を活かし、さらに成長した自分でre:Inventに参加してみたいと思っています。

今後はre:Inventで「TOPPANデジタル」として発表できるような開発事例を作り上げることを目指し、re:Inventで得た知識と高まったモチベーションを活かしながら、日々の業務に一層力を注いでいきたいと考えています!


後編

後編では「2024年以降のre:Inventに参加する方向けの情報」や「re:Inventのセッション深掘り情報」をご紹介しています!
後編はこちらを御覧ください。