小学生と過ごす"デジタルな"夏休み
こんにちは、ICT KŌBŌ®︎です。
つい先日までの残暑が嘘のように優しい気候になりましたね。
ICT KŌBŌ®︎ IIZUNAがオフィスを構える長野県も若干の肌寒い気候に落ち着きつつありますが、それでも8月は連日真夏日・猛暑日を記録し、"避暑地"というイメージからはかけ離れた夏を経験しました。
なかなか外での活動が厳しい期間ではありましたが、それでもやはり夏のカラッとした気候や青々とした景色は気持ちを開放的にしてくれました。
今回はそんな自然の中でプログラミングを学ぶ取り組み「いいづなデジタルキャンプ」について紹介します。
いいづなデジタルキャンプとは
飯綱町では、小中学校の児童生徒がタブレットを活用してプログラミングやデジタル学習に取り組んでおり、その一環として今年度は児童が
「デジタルを活用しつつ主体的に生きる人財へ成長できる教育」を目指したプロジェクトを開催しています。
その中で「いいづなデジタルキャンプ」は
⚫︎プロラミングの基礎
⚫︎ロボットの組み立て
⚫︎競技
を経験できるカリキュラム通して小学生ロボコンに参加できる児童を養成することを目指した、飯綱町主催のイベントです。
小学生ロボコンとは
ロボコンとは「ロボットコンテスト」の略で、高専ロボコン・学生ロボコン・ABUロボコンなど、様々な大会が開催されています。
ロボコンではチーム・または個人で与えられたお題に沿ったロボットを組み上げ、そのロボット同士を競わせる競技が開催されます。
ただし、「競わせる」という文言を用いてはいますが、例えば高専ロボコンの大会運営側はロボコンを「教育イベント」と銘打っており、自分で考え・作り上げることの面白さや発想することの大切さを共有してもらうことを大会の狙いとしています。
その中で、小学生ロボコンは2019年から本格的に開催されるようになった「ロボット好きの小学生のため」のロボコンで、国内の小学生なら誰でも参加が可能となっています。
ただ、「ロボット好きの小学生のため」とは言っておりますが、ロボコン主催の小学生ロボコン実行委員会は下記のような考え方を示しています。
やはり小学生ロボコンも、ロボット好きの小学生が腕試しをするための場というだけでなく、課題発見力・主体的に考え抜く力・共同力というデジタル分野以外でも非常に大切な能力をロボコンへの参加を通して養うという側面を持ったイベントのようですね。
デジタルを活用しつつ主体的に生きる人財へ成長してほしいという願いを込めたプロジェクトを開催する上で、このロボコンというイベントとの親和性はとても高いのではないでしょうか。
ICT KOBO®の関わり方
小学生ロボコンがデジタル教育を受ける児童の皆さんにどのように関わってくるか、感じ取っていただけましたでしょうか。
しかし、ロボコンに準えたイベントをやろう!と意気込んでも、それがあまりにも難しい内容で、ロボコン未経験の小学生にとってただただ苦しいものになってしまってはあまり意味がありません。
特に、今回のデジタルキャンプでは実際にロボットの構成やプログラミングを小学生自身に考え・組み立て・実装してもらいます。
おそらく多くの児童が初めての体験になるため「どうすればいいかわからない」「前向きに取り組みづらい」と感じてしまうかもしれません。
そんな児童の皆さんに生じる抵抗感や踏みとどまりたくなってしまう感覚を払拭し、楽しく前向きにイベントに参加できるように背中を押す役割を我々ICT KOBO®が担えるのではないかと考え、いいづなデジタルキャンプへ参加してきました。
我々はミッションの一部として人財育成を掲げており、2022年から飯綱町と提携して町の小中学校の児童生徒がデジタル社会の中で生きていく力を身につけられるように、授業やクラブでサポート活動を続けています。
そんなICT KOBO®のエンジニアだからこそ、技術的なプロフェッショナルと人財育成の2面でのサポートや寄り添い方ができるかもしれません。
また、そのような背中を押す姿や実際に児童と一緒になってロボット作りに参加する我々TOPPANデジタルの背中を見せることで「マネしたい!!」
「こうなりたい!!」のような将来の可能性を広げる役割も担えたら…という思いを込め精一杯サポートしてきました。
では、ここから開催されたデジタルキャンプの内容についてご紹介していきます。
いいづなデジタルキャンプ開催
「自然の中でプログラミングを学びましょう」のコンセプトをもとにした募集に対して、飯綱町内外から7名の児童が応募し参加してくださいました。
(幸いにも県外から興味を持って参加してくださった児童もいました)
プログラミング経験も未経験からビジュアルプログラミング言語やゲームエンジンの使用経験がある児童まで様々でした。
そんな児童の皆さんに取り組んでもらうのは見た目にも楽しそうなロボットプログラミングです!
簡易的な資材を用いたロボットの作成からそのロボットの動きをプログラミングで制御するところまでを体験をしてもらいました。
8/3 いいづなデジタルキャンプ1日目
1日目はロボットの組み立て・プログラミングそれぞれの基礎を学びます。
ロボットはロボコンのルールに則ってストローや割り箸などを利用し作成してもらいますが、小学生ロボコンでこのような制約が設けられている理由について疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
これについて、小学生ロボコン実行委員会は下記のような考え方を示しています。
制約が設けられた中で求められる発想力や前向きに取り組もうとする姿勢を大切にしているようです。
ロボットを組み立てるための共通の説明書もなく、日常的にロボットとかけ離れた場面で見かける材料を部品として利用するため「すぐにロボットが崩れてしまう」「思ったようにロボットの姿勢を保つことができない」といった課題で頭を悩ませる場面が何度もありました。
ただ、児童の皆さんは失敗したまま諦めて放置せず、組み立て方を工夫して崩れにくい組み立て方を模索したり、部品のストローを二重にして強度を上げてから組み立てに取り掛かるなど、思い思いの試行錯誤を繰り返して自由な発想を表現していました。
組み立てができたら、もう一つの重要な要素であるプログラミングの基礎を学びます。
プログラミングではパソコンの画面上でブロックを組み合わせることで直感的に命令を出せるビジュアルプログラミングツールを用います。
難しい文字だらけのプログラミング言語を書くことなく直感的にプログラムを作り上げられるツールですが、できることは幅広いです。
ボタンを用いたロボットの動作を制御はもちろんのこと、ジェスチャーを用いてロボットの動きを制御できたりと様々な制御が実装可能です。
興味・好奇心が強く惹かれたようで、どの児童も夢中になってプログラムを実装していました。
野外でのレクリエーション
ここまでプログラミングとロボットの組み立てという技術的な内容を詰め込んできましたが、このイベントにはもう一つ「大自然の中でのキャンプ」という重要な要素があります。
その要素を活かして、児童の皆さんには野外でのバーベキューと花火を楽しんでいただきました。
ロボットの組み立てやプログラミング学習での疲労を吹き飛ばすかの如くリフレッシュしてくれていました。
8/4 いいづなデジタルキャンプ2日目
2日目は"小学生ロボコンに参加できる小学生を養成する"という観点にフォーカスし、ロボコンで実際に扱うテーマと近いテーマでロボットの構成と制御を考え実装してもらいました。
さらに、実装完了後には「フィールド上に散らばった文房具をいかに多くゴールまで運べるか」を競う模擬競技を実施してもらいます。
ロボコンのテーマに対して、児童の皆さんがそれぞれ前日に学んだ内容を最大限に活かし、思い思いのロボットを作り上げてくれました。
そして、いよいよ模擬競技の実施です。
模擬競技では想定通りの動きを実現した児童もいる中で、なかなか想定通りの制御を行うことができずに苦戦する児童もいました。
中には文房具を運搬する段階まで移行できない児童も…
しかし、そんな中でもうまくいかなかった原因を自分自身で探り、プログラムに課題があるのか、ロボットのボディの重さや構成に課題があるのかを追求している姿が見受けられ、真摯に向き合う姿勢や真剣さに圧倒される気持ちでした。
いいづなデジタルキャンプを終えて
児童からはレクリエーションはもちろんのこと、ロボットの組み立てやプログラミングに対して
⚫︎「とても楽しかった!」
⚫︎「今回のようなイベントにまた来たい!」
との感想をいただきました。
想定した通りの動きをすぐには実現できないなど、一見すれば苦労に思えるような内容に対してもポジティブな感覚を持ってもらえたのは大変嬉しく、大きなやりがいを感じました。
初日にワークの説明をした時、児童の反応は「なにか特別なことをするんだ」といったように完全に別世界の話を聞いているようでした。
やはり、ロボットを作り・プログラミングを実装するという多くの小学生ではまだ経験がないであろう内容を聞いて「本来は自分たちとは関係のないもの」と捉えていたのだと思われます。
そんな中で組み立てやプログラミング等の事前ワークやロボコンの競技課題を解決するためにたくさんのトライ&エラーを繰り返してもらいました。
最初こそ周りの大人の助言やサポートを受けることも多かったですが、徐々に課題が見つかったら「とりあえず別の方法を試してみよう」というように試行錯誤を主体的に起こす姿が見られました。そこにのめり込む姿はどこか当初感じていた”別世界感”が払拭され、デジタルツールを扱うことを自分の世界のこととして捉え始めているように見えました。
筆者やサポーターとして参加してきた社員の所感ですが、エンジニアという職業は言葉ではなかなかその実態を表現しづらく、プログラムを経験したことない人にとってはどこか別世界感を強く与えてしまうかもしれません。
しかし、我々の考え方としてエンジニアは
⚫︎技術的な知識、幅広い分野の技術を使いこなす経験値
⚫︎知らない技術や学問を積極的に学ぼうとするチャレンジ精神
これらを使ってお客様や自分自身の課題を解決する職業であって、プログラムはただのツールと捉えています。
今回いいづなデジタルキャンプに参加してくれた児童の皆さんにはそれを肌で感じでもらえたように思われますし、今後もこのような活動を続けていくことで、全ての小学生にエンジニアとして働くという選択肢を持ってもらうことにも貢献できるのかもしれません。
おわりに
今回は町と協力した人財育成の取り組みの一つをご紹介しました。
児童の皆さんの成長を目の当たりにし、我々も刺激を受けるばかりです。
今後も自治体との連携を密に取りながら、各地域に「人財育成」という枠組みで貢献してまいります!
次回の記事もお楽しみに!!!